メンズのビジネスカジュアル、スーツの定義とは何でしょうか?
ここ数年よく耳にする「ビジネスカジュアル」
略してビジカジと呼ばれています。
紳士服業界にとって今やこのビジカジ需要は絶対に外せないものとなっています。
仕事といえばスーツを着る人が大半だった
私がアパレル業界で働いていた15年の中でメンズアパレルは大きく変わっていきました。
仕事の服といえばスーツ。今まではそれが当たり前でした。
しかし、需要のあったスーツがだんだん売れなくなってしまいました。
これは本当に大きな変化でした。
週に5日、日々スーツを着用しているとなれば1着では到底間に合いません。
スーツ以外にもコート、シャツ、ネクタイ、カバン、靴・・・
四季のある日本では衣替えもあります。春夏用、秋冬用が必要になります。
毎日のように着る消耗品です。
何着か必要になりますし、必ず買い替えします。
絶対的な需要のある、単価の高いスーツが売れなくなる。
これは大きく売上が落ちることを意味します。
どうしてスーツが売れなくなってしまったのでしょうか?
「省エネ」という言葉をご存知でしょうか?
夏でも長袖シャツにジャケット着用、ネクタイを締める。
どんなに暑くても10年位前はまだそれが普通でした。
そうするとどうなるか?
オフィスや電車はとても冷えていました。
設定温度18度なんて当たり前?
びっくりしますが空調温度はとても低い設定でした。
理由は簡単、スーツを着た人に合わせた設定温度になっていたのです。
しかし、電力の節約をしよう。エコ、CO2の削減、地球にやさしく、、、
日本だけでなく世界でエネルギーを節約しようという声が上がっていきました。
これが「省エネ」です。
社会の流れは変わり、夏でも空調温度の設定を上げることが当たり前となりました。
節電は企業でも取り組んでいくようになります。
そもそもスーツを着た人を基準に下げられていた空調温度を上げる。
そうするとどうなるか?
もうおわかりですね。
スーツ、ネクタイの着用の規定がなくなり始めます。
いわゆるクールビズです。
逆にスーツを着ない、なんて規定も出てきたのです。
スーツを着ないビジネススタイル、
そのことをビジネスカジュアルと呼ぶようになりました。
ビジカジ需要の広がり
しかし、ここでまた難しい問題が!
ビジカジの定義がはっきりしないのです。
スーツを着ていれば大丈夫。これが通用しなくなったら何を着れば大丈夫なのか?
いつも着ていたスーツ以外の服を着ることに最初は抵抗がありました。
上司がネクタイ着用をしてるのにノータイでほんとにいいのか?
スーツでなくても取引先に失礼にならないのか?
前例のないものが広がり認知されるまで何が正解なのか手探りの状態でした。
スーツにネクタイならまず安心だった場面でいったい何を着ればいいのか?
今までスーツを着ていたビジネスマンたちはスーツ以外の仕事で着る服を求めて買い物にやってきました。
そこでアパレル業界もビジカジ対応という商品を打ち出すようになります。
スーツではない仕事で着用する服装、それをビジネスカジュアルという言葉でわかりやすく表現しました。
前例がないもの、ならばこちらから打ち出す。
そんな感じがあったことを今でも覚えています。
ビジカジの定義は売り上げ実績が作り出す
打ち出したものでも普及しなければ本当にそれを着ていいのかビジネスマンたちには分かりません。
定義を見つけていくこと、それは打ち出した商品が売れて実績を出すことで説得力が増しました。
ビジネスカジュアルの認知度が上がるにつれ、その定義は年々変化していきました。
それでもオーソドックスな着こなしは定着していきます。
黒、ネイビー、グレーのジャケット
白、またはブルーピンク系のネクタイをしなくても襟元が崩れないシャツ
黒、ネイビー、グレーのスラックス(トレンドによって形が変わります)
靴はスーツの時と同じ物を履く方が多かった印象があります。
カバンはスーツの時と同じか、少しカジュアルなもの(ナイロンのカラーものやトートなど)が増えてきました。
ジャケットとスラックスの色は違うもの
ジャケットがネイビーでスラックスはグレー(もしくは逆の色合わせ)
シャツは白が人気の基本の合わせでした。
メンズのビジネスカジュアルの定義は業種によって違います。
(様々なお客様とお話した中でも、特に規定が厳しいと感じるのは銀行・金融系のお仕事の方でした。)
それによっておすすめは変えていますが、この基本の合わせが一番よく売れました。
ビジネスカジュアルだとどんな服が一番無難ですか?と聞かれたら、
私は上記の組み合わせをおすすめしていました。
ジャケット着用、シャツ、(プレスの入った)スラックス、革靴、ネクタイなし。
2016年の1月現在でも、この組み合わせはビジネスカジュアルの定番だと思っています。
もちろんスーツにだってトレンドがあるくらいです。時代の流れと共にビジカジも変化していくでしょう。
ビジカジが増えたとは言え、スーツが消えたわけではありません。
スーツとビジネスカジュアルの差別化とはなんでしょうか?
そのお話は次回にいたします。
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