買い物に出たときのこと。

近所の魚屋さんに美味しそうなお刺身があった。カツオである。

よく見るとこう書いてあった。

「はつカツオ」

おお、初ものか。

今晩は納豆とネギトロでも食べようかと思っていたが、なんだかカツオが食べたくなってきた。

初ものは縁起がいいといわれている。まさに旬のもの。

季節の味をいち早くいただきたいと思うのは、くいしんぼうだからではない。

日本に生まれ育った性とでも言えようか。

5月下旬、今時期のカツオはさっぱりとしている。

生姜をのせて初カツオをつまみながら、ふと思い出したことがあった。

たしか、初カツオの俳句があったなぁ・・・

気になって調べるとすぐ見つかった。

 

目には青葉 山ほととぎす 初鰹

 

江戸時代の俳人 山口素堂の作品であった。

そうそう、これだ。

何で覚えた句なのか記憶にないけれど、季節を感じる句で好きだった。

 

先日、5月27日に横須賀・三浦みちくさウルトラマラソンの100kmにエントリーをして走ってきた。

残念ながら74.1km地点でタイムアウトとなってしまい100km完走はできなかった。

しかし海岸沿いの景色や武山の空気は清々しく、また来年も走りたいと思わせてくれるほどのものだった。

橋の上から見えた富士山。

街路樹の緑も深まり、日の光を浴びてキラキラしていた。

この日はとにかく暑かった。28度だったとか。

夏を思わせる日差しの強さで、いつの間にか腕は日焼けで赤くなっていた。

風も強く、何度も帽子が吹き飛ばされそうになった。

山の中に入ると風が吹くたびにざわざわと音がした。

「生命力」という言葉が浮かぶほど山の木々は緑。

ずっしりとしていて、どこまでも伸びていくようだった。

走っている途中でホトトギスの鳴き声も聞こえてきた。

スタートは朝5時、ホトトギスの声を聞いたのはまだ最初の頃だったから6時くらいだろうか。

 

・・・句を読んで走っていた時の記憶がふっとよみがえってきた。

初カツオを食べながら、もう一度この句を頭の中でなぞった。

初夏の景色・音・味は江戸時代から変わらずここにあるのか。

感慨深いものだ。

ここ数日の出来事がこの句に全て収まっているのも面白い。

時は流れ、季節は巡る。

江戸時代の人々も同じようにカツオを味わっていたのだろうか。

 

電車も飛行機も車もない江戸時代。

みんな歩いてどこにでも行っていたんだよな。(馬は除いて)

100kmなんて大したことないのかもしれない。

そんな距離でおおげさな、江戸時代の人に笑われそうだ。

そんな妄想をしつつ、100km完走しないと納得いかない自分がいた。

やっぱり負けず嫌いだな。まあいいか。